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姉弟の家


   (寫眞をクリックすると拡大します。)

尾根の坂道をのぼり切ると、別の尾根道と合流する地点に、二人の童子が現れた。
姉弟と思しき二人の童子は、まだよちよち歩きしかできない真っ白な子犬を、リードにつながず自由に歩き回らせている。

「可愛い犬だね。君たちの犬なの?」

二人は立ち止まって振り返り、姉の方が無言で肯いたが、それ以上の問い掛けを拒むように、二人は再び前を向いて歩き出した。
姉が肯く時に見せた不自然な笑みに違和感を感じつつ、こちらも無言でついて行く。
頂上を少し過ぎたところで、姉弟と子犬は道を逸れ、短い階段を降りていった。
階段下の狭い土地には、家が数軒建っていた。
二人は、一番手前の家の玄関の戸を開けると、子犬と一緒に家の中の闇に吸い込まれるように消えていった。

階段の上に立ち、家屋を見渡す。
淡青色の屋根を冠した一群の家屋は、全てが棟続きのようにも見えるが、一軒一軒が独立しているようにも見える。
家屋各軒の向きが、微妙な角度で少しずつずれている。
二人が降りて行った階段の他に、この場所への入口は無い。

僅かに揺れる草木と電線以外、視界の中で動くものは何もない。
たった今、姉弟と子犬が家の中に入って行ったばかりだというのに、どの家からも生きものの気配を全く感じることができないのは、どういう訳なのか。

尾根道を吹き抜ける冷たい風がぴたりと止むと、辺り一帯は愈々もって静まり返った。
・・・と思った次の瞬間、甲高い犬の鳴き声に続いて、童子たちの哄笑が鋭く響きわたった。

直ちに撮影は中止し、尾根道をできるだけ早足でくだっていく。
この時、後ろを振り向いたら何が見えたのか、今もなお、怖くて想像することすらできずにいる。

BGM ・・・ 閉ざされた町 (カルメン・マキ&OZ)
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